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「外のそこ」

 

発行日 2016年(平成28年)411

著者 山上高人

発行者 田邉淑子

発行所 グリーンライフ

定価 2,500

 

カラー、109ページ

 

新宿ニコンサロン個展「空絵事」と銀座ニコンサロン個展「別名で保存された無名の記憶」の2部より成ります。

「空絵事」と「別名で保存された無名の記憶」は、似たようなコンセプトで作った連続する作品なので、「外のそこ」として一つにまとめた。

 

「外」とは、閉じた空間に含まれない側で、特定の仕切られた範囲から出た領域を指す。

「そこ」は「其処」であり「其所」でもある。近い場所、承知している場所・事柄を指す。また、おまえ、そなたを表し、漠然とある場所を指す場合もある。

空絵事 からえごと

自宅や職場、運転中の車窓、近所や郊外の行きつけの場所など、普段の生活はそのほとんどが意識にのぼらず記憶にもとどまらない、いわば空っぽの光景の積み重ねであると思われる。ここにはそのような日常景ばかりを集め、もう一度見つめなおしてみた。

別名で保存された無名の記憶

日常の平凡な記憶は、気がつかないうちに脳の奥深くに入り込み、無名の記憶として潜んでいる。それは後の生活の中の意識しないところに現れ、今現在や未来の記憶を思い起こすことに関係している。今回意識して写真に撮り、コンピュータに保存しているのは、こういった類の日常の記憶である。電子化された形のないデジタル記憶は、プリントやディスプレイという形で、具体化される。ハードやソフトといったシステムの進歩を取り込みながら、その時々の生活環境とも触れ、新しい生命を持つ今現在の記憶として想い起こされる。それは、固定した変わらないものではなく、接触を重ねるたびに新しい姿へと変化する動的な創造と言えるものである。

 

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